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「がんとともに、自分らしく生きる」の人間に基づく医療「HBM」に共感すること

がんとともに自分らしく生きる

虎ノ門病院の腫瘍内科医である高野利実先生の書著、「がんとともに、自分らしく生きる」を読みました。

エビデンスに基づいた医療、すなわちEBMが医療の主流となっている昨今、高野先生の推奨する「HBM(人間に基づく医療)」に大変共感を覚えました。

HBMの考え方は、「患者さん自身が主体となって、患者さん自身の想いに基づいて、患者さん自身が幸せを感じられるような医療」ということだそうで、エビデンスだけではなく、患者さんの価値観も考慮することが大切であることを強調しています。

とても大切なメッセージですので、みなさんに紹介します。

がんとともに、自分らしく生きる





本書では、東京・虎の門病院臨床腫瘍科で腫瘍内科医としてがんの治療にあたる高野先生が、がん治療に対する考え方を紹介しています。

なかでも「HBM」という概念をすすめ、患者さんの価値観を重視し、患者さんの生き方に寄り添う治療を行っています。

HBMというのは、EBM(エビデンスに基づく医療)をもじって私がつくった言葉で、「人間に基づく医療(Human-Based Medicine)」のことです。
EBMが、エビデンスに基づいて、「最大多数の最大幸福」をめざすのに対して、HBMは、「人間」に基づいて、「一人ひとりの、その人なりの幸せ」をめざします。



今はやりの言葉で言えば、まさに「患者さんファースト」のがん医療といえるでしょう。
我々がんの診療に携わる医療者にとって、ともすれば忘れてしまいがちですが、もっとも大事な考え方だと思います。

HBMを実践するために



患者さん自身がHBMを実践するための15箇条を挙げています。

1.医療は自分のものであると心得る
2.生老病死ときちんと向き合う
3.自分の想い、価値観や大事にしていることを医療者や家族に伝える
4.治療目標を明確にし、医療者や家族とも共有する
5.イメージに惑わされず、うまく情報の波に乗る
6.最低限のエビデンスとEBMのルールを知る
7.リスクとベネフィットのバランスを考える
8.自分にとってプラスとなる治療を受け、マイナスになる治療は受けない
9.医学の進歩と限界を知る
10.緩和ケアを積極的に活用する
11.医療者や家族とよく語り合う
12.しんどいときは、まわりに頼る
13.がんとうまく長くつきあう
14.希望を持って生きる
15.自分なりの幸せをめざす



ぜひ参考にしてみてください。

あなたのがんに対する医療を決めるのは、医者でもなく、家族でもなく、あなた自身です。

ですから、あなたが一番幸せになれる医療を一緒にめざしましょう!



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がん医療の本質とは?「がん治療革命」を読んで

がん医療の本質とは

現在のがん医療はエビデンスが優先され、臨床試験で少しでも長生きすることや、腫瘍が縮小することが治療の成功とされます。
しかし、本当にそれが患者さんの幸せにつながるかどうかは疑問です。
たとえ腫瘍が縮小し、数ヶ月間長生きできたとしても、きつい副作用によって生活の質(QOL)が損なわれるようであれば、意味がないのではないでしょうか?
現在の医療は本当に患者さんのためになっているのでしょうか?

私の大学の恩師である森崎 隆先生の書著「がん治療革命」から、未来のがん医療のありかたについてのすばらしい意見を紹介します。

医師の考える医療の質と、患者が求める医療の質


森崎先生は、この本の中で、「未来のがん治療」について次のように述べています。

もし「生存期間X生活の質(QOL)」が計算できると仮定すれば、多くの人はこちらを評価してもらいたいはずです。

不快な症状の有無や程度、食事や排せつ、睡眠など、人間の基本的な機能や様々な不安もQOLと関連します。
また、幸福感など、よい意味でのQOLも評価せねばなりません。

完治の難しい患者さんの側からすれば、生存期間とがんの縮小の度合いだけを見るのではなく、QOLを考慮した治療の質の評価基準を検討してもらいたいはずです。

QOLは多少損なわれても、できるだけ長生きしたいという方、QOLを良好に保てれば延命期間は短くてもよい方、そういう多様性が求められるはずです。

医療が本当に患者の立場に立つものであれば、エビデンスも重要ですが、自分の人生をいかに送るか、そしていかに締めくくるかという様々な個人の考えも考慮した、多様な選択肢が必要と考えられます



全く同感です。

最先端の抗がん剤、分子標的薬、免疫療法・・・
医療は日々進歩し、確かに生存期間は延長していますが、はたして患者さんの幸福度はあがっているのでしょうか?

これからのがん医療は、がんの治療効果だけを追求するだけではなく、患者さんの人生観・価値観の多様性も大事にしていくべきだと思いました。


がん治療革命: 未来への提言



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膵臓がんの術後合併症について 「どんな合併症がありますか?」

膵臓がんの術後合併症

膵臓がんは予後が悪いがんの代表で、多くの場合、診断された時点で手術による切除ができないくらい進行しています。

しかし、およそ20%の患者さんでは、がんが膵臓内にとどまり、切除が可能である段階で発見されます。

手術によって完全にがんが除去された場合には根治(完全に治ること)の可能性があります。

しかし、膵臓がんの手術はからだに対する負担(侵襲)も大きく、術後に合併症がおこるリスクも高いため、慎重な術後経過の観察が必要です。

膵臓がんの術後合併症


膵臓がんの術後には、いろいろな合併症がおこる可能性があります。

その多くは適切な処置で回復しますが、なかには命をおびやかすような重大な事態を引き起こすものや、ひとたびおこったら致命的となるものもあります。

以下、膵臓がんの手術後に比較的多くみられる合併症について説明します。

■出血


どんな手術でも、術中や術後出血のリスクはありますが、膵臓がんの手術では大きな血管を処理することが多いため、他の手術と比べても出血のリスクが高くなります。

少ないですが、術後に腹腔内や消化管内に出血し、緊急の血管造影による止血や再手術が必要となる可能性もあります。

■膵液ろう


膵臓を切った端(または残った膵臓の表面)から膵液がもれるという合併症です。膵臓の機能の一つは、消化液(膵液)をつくり、腸の中に流すことです。
膵臓は全体で消化液をつくりますので、膵臓の表面がちょっとでも破れたり、膵臓を切ったりすると、どこからでも消化液がしみ出してきます。

膵頭十二指腸切除術(膵臓の頭の部分の切除)では約10~20%、膵体尾部切除(膵臓のしっぽの部分の切除)では20~30%におこると報告されています。

膵液は強力な消化液であるため、お腹の中にもれた場合にはまわりの組織や血管を消化してしまいます。
このため、溶けた組織に細菌が感染して腹腔内膿瘍という膿(うみ)のたまりができたり、動脈が破れて大出血がおきたりすることがあります。

このように、膵液ろうは時として命を脅かすことさえある大変危険な合併症です。

■縫合不全(ほうごうふぜん)


膵頭十二指腸切除術の場合、切除した後に、残った膵臓と腸(あるいは胃)をつなぐ以外に、胆管と腸、胃(あるいは十二指腸)と腸をつなぎます。
しかし、様々な原因でうまくつながらず、つなぎ目から胆汁(たんじゅう)や腸液がもれることがあり、これを縫合不全といいます。

糖尿病などの合併症のある患者さん、栄養状態の悪い患者さん、あるいはステロイドという薬を長期に内服している患者さんでは組織の治る力が弱く、縫合不全が多いと言われています。

■腸閉塞


膵臓の手術に限らず、お腹の手術のあとに腸が癒着(ゆちゃく)します。
特に、消化管の再建(つくりなおし)をした場合には、この癒着も強くおこります。
この癒着が原因で、腸がよじれたり、腸の通過が悪くなることがありますが、これを腸閉塞といいます。

腸閉塞は術後しばらく(数年後の場合もあります)たってからおこることもあるため、吐き気や便秘が続く場合には注意が必要です。

■糖尿病


膵臓を切除することで、膵臓の内分泌機能(インスリンなどのホルモンを分泌して血糖値をコントロールする機能)が低下することがあります。

このため、術後に糖尿病を発症したり、もともと糖尿病があった患者さんでは悪化したりすることがあります(膵臓の切除をした患者さんでも、糖尿病になる場合とならない場合があります)。

したがって、膵臓がんの術後には定期的に血糖値など糖尿病の検査を行う必要があります。

■栄養失調、体重減少


膵臓がんの術後には、食事の量が減ったり、消化吸収の障害がおこったりすることがあり、栄養失調(低タンパク血症や貧血)となる場合があります。
また、ほとんどの患者さんで体重が減ります。

この場合、少なくても栄養価が高く、消化の良い食べ物を食べたり、経管栄養剤(エンシュアHなど)にて栄養を補給したり、また消化酵素の内服薬によって対応します。
長期的には徐々に栄養失調は改善していくことがほとんどです。


以上が膵臓がんの手術後に比較的多くみられる合併症です。
これ以外にも肺炎、脳梗塞、肺梗塞、心筋梗塞など、致命的となる可能性のある合併症もあります。

膵臓がんの手術を受けられる患者さんは、これら合併症のリスクについて十分に外科の医師と話し合い、納得して手術をうけてください。



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手術を受けるすべてのがん患者さんへ!術前にやってほしいこと

癌治療

がんに対する治療法は日々進歩しています。
新しい抗がん剤や放射線治療、さらには免疫チェックポイント阻害剤などの免疫治療も開発され、実際の臨床で使用されるようになりました。

外科の分野では、より安全な手術術式や、患者さんへの負担を軽くする低侵襲手術(腹腔鏡手術など)が次々と開発され、良好な成績をあげています。

このような手術の進歩の一方で、術後の合併症はなくなりません。

術後の合併症は入院期間が延びる原因となるだけでなく、重症の場合には死亡(手術関連死)につながることがあります。
また、術後合併症はがんの再発率を上昇させたり、予後が悪くなるといった報告もあります。

さて術後合併症はどうしておこるのでしょうか?
実は、合併症の発生には、手術の方法や技術だけでなく、患者さん側の因子(たとえば併存疾患、栄養状態や免疫力など)も深く関係しています。

したがって、術後合併症のリスクを減らすために、手術前に患者さんが自分自身で出来ることがあります。

がんの手術前に患者さんにしてもらいたいこと5つ



最近では入院期間短縮の流れから、手術の前日に入院することが一般的になりました。
外来から手術まで結構時間が空いてしまう場合もあります。また、患者さんの多い病院などでは、手術が2週間~1ヶ月先になることもあります。

手術を待つ間は、いろいろと心配で何も手につかないかも知れません。
しかし、この手術までの期間に(たとえ短期間でも)、術後の合併症リスクを減らすためにできることがあるのです。

今回は、術後合併症を減らすために、がんの手術前に患者さんに必ずしてもらいたい5つのことを紹介します。

1.栄養状態(特に低タンパク血症)の改善



多くのがん患者さんでは、栄養状態が悪化しています。しかし、低栄養状態(特に低タンパク状態)は術後合併症のリスクを上昇させます。

栄養状態の指標にはいろいろありますが、血液中のアルブミン値が低下(一般的には血清アルブミン値が3.5 g/dL以下)している場合には、栄養状態が低下していると考えられます。

このような患者さんでは、術前に良質のタンパク質を摂取し、出来るだけ低アルブミン血症を改善しておくことが大切です。

食欲がない方や、消化管のがんで食事があまり摂れない患者さんなどでは、病院で経管栄養剤(エンシュアHなど)を処方してもらうのもいいでしょう。また、抗炎症作用があるEPA配合の栄養機能食品(プロシュア)や、免疫強化栄養剤(インパクト)などが市販されていますので、試してみるとよいでしょう。

2.筋肉やせ(サルコペニア)の改善



サルコペニアとは、筋肉量および筋力が低下した状態のことで、食道がん、胃がん、膵臓がんなどの患者さんに多いとされています。

じつは、このサルコペニあるいは肥満を伴うサルコペニア)がある患者では、術後の合併症リスクが高くなり、また生存率が低下することが報告されています。

そこで、術前にできるだけサルコペニアを改善することが必要です。
サルコペニアを防止あるいは改善させるためには、プロテインの摂取とレジスタンス運動が必要です。

詳しくは下記の記事をご参照ください。
死亡率が上昇:がん治療の大敵サルコペニアとは?

3.口腔ケア(歯科受診、歯周病のチェック・治療)



多くの研究により、歯周病が食道がんなどの術後合併症(とくに肺炎や傷の化膿などの感染性合併症)のリスクとなることが分っています。

最近では、積極的に術前の口腔ケアを取り入れている病院もあります。もし手術を受ける病院で歯科(あるいは口腔外科)受診や術前口腔ケアの説明がなかった場合には、自分でかかりつけの歯科へ行き、歯周病、う歯のチェック・治療および専門的な口腔内清掃を受けてください。また、毎日の口腔ケア(清掃方法)の指導を受けましょう。

また手術前から歯科を受診することは、全身麻酔の時の気管挿管(呼吸補助のチューブを気管に入れること)による歯の破損や誤飲の予防になるといったメリットもあります。

4.免疫力を高める



がんになると様々な身体的・精神的な理由から、免疫力が低下します。免疫力が低下すると術後合併症のリスクが増加します。例えば、免疫状態の指標である総リンパ球数が少ない人では、術後の合併症が増えることが明らかとなっています。

免疫力を高める方法としては、規則正しい生活、適度な運動、ストレスを減らす生活、食事、サプリメントなどがあります。
詳しくは、「がんの発生・再発を防ぐ免疫監視機構の重要性」をどうぞ。

また免疫力を保つためには十分な睡眠をとることが大切です。がんのことが気になって眠れないようでしたら、遠慮なく主治医に相談しましょう。

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5.呼吸・禁煙訓練



喫煙は、術後肺炎などの重大な合併症のリスクとなります。命にかかわると決心し、手術が決まったらすぐに禁煙しましょう。

また、慢性の閉塞性肺疾患(COPDなど)があり、呼吸機能が低下している患者さんでは、術前の呼吸訓練が術後呼吸器合併症の減少のために重要です。
このような合併症がある患者さんや、長年喫煙を続けているような方は、呼吸訓練について積極的に主治医に相談しましょう。

以上、がんの手術が決まったら、必ず術前にしてほしいことでした。



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がん闘病中の患者さんへ!「治るという前提でがんになった」から学ぶべきこと

がんは情報戦

IT関連会社の社長である高山知朗さんがつづった、2度のがんを克服した闘病記、「治るという前提でがんになった」を読みました。
この本は、単なるがん患者さんの闘病記にとどまらず、「がんを克服するためのノウハウや心構え」がつまった貴重な本だと思いました。



高山さんは、40歳で脳腫瘍を告知され、42歳のときに白血病を告知されます。

5年生存率は、脳腫瘍では25%、白血病では40%であり、2つをかけ合わせるとわずか10%となります。つまり、10人に1人しか生き延びられないことになります。

しかし高山さんは、この2回のがんを、手術、放射線治療、抗がん剤治療で乗り越えます。

本書に記された高山さんががんを克服した方法を読み、奇跡ではなく、必然だと感じました。
そして、他のがん患者さんにも参考になると思いました。

以下、いくつかの学ぶべきポイントを挙げていきます。

1.ベストの治療を求め、必死に情報収集をする


まずは、インターネットで自分の病気と治療法について徹底的に調べます。
さらに、医師の幼なじみに相談します。
そして、最終的には自分自身でベストの病院を選び、治療を受けることを決意します。
病院選びには患者数(手術件数)の多さが参考になるということも述べています。
「がん治療は情報戦」であり、正しい情報を得ることが最も大事であることを教えてくれます。

2.信頼できる主治医を探す


情報をもとに病院を変更し、信頼できる主治医に巡り会うことができます。
がんを克服するためには、主治医との信頼関係は最も重要なことのひとつです。

3.生きる目標を定める


「娘の成人まで、あと19年は必ず生きる」と決意します。
がんの治療では、生きる目標や死ねない理由が大切です。    

4.治療法について納得がいくまで議論する


白血病に対して抗がん剤治療を受ける際、自分でもネットで海外の学術論文などを調べ、少しでも生存率の高い治療法について担当医と議論します。
そして、納得がいくまで調べ尽くした上で、治療法を選択します。
また、抗がん剤治療中は、「がんが消える」というイメージを持ちながら受けたといいます。
「治療はおまかせ」、ではなく、自分で納得がいく治療を、ポジティブなイメージを持ち続けながら受けることが重要だということを改めて感じます。

5.「治るという前提でがんになった」という気持ち


がんになり、偶然とは思えない幸運に巡り会えたことより、治るという前提でがんになったのではないか、と考えるようになったそうです。
さらに、がんになって「人間は1人で生きているわけではない、人に生かされている」、ということが初めて分ったことから、「がんになって本当によかった」とさえ思うようになったとのことです。

がんになったこと、がんが治ること、すべてを運命として受け入れる気持ちが大切であることがわかります。



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プロフィール

佐藤 典宏(さとう のりひろ)

Author:佐藤 典宏(さとう のりひろ)
みなさん、こんにちは!
北九州の大学病院で消化器外科医として働いています。
がん患者さんにとって、少しでも役に立ち、またはげみになる情報をお伝えできればと、ブログを開設しました!よかったら、こちらのサイトもどうぞ↓↓↓

あきらめない!がんが自然に治る生き方
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